最近の学力検査でも顕著なように 都内各小中学校の国語の学力低下は 深刻です。TSKではせめて塾生だけでもと 思考の土台となる言語能力の育成に力を注いできました。 ここでは入試国語の60%以上を占める読解問題について その取り組み方の参考意見を記します。
1 まず読書
10冊の問題集より1冊の読書です。一定の読書体験をもつ子は文種をしぼった読書が有効です。 読書感想文などは不要。すばやく純粋に作品に入り込んだ読解だけが 力となります。
5年時には長編・短編を問わずさまざまな作品に出合うこと 6年時では 特定作家の短編を集中的に読み込むことが肝心であり 有効な方法です。これは中学生でも変わらぬ法則で 中間学年では読書量も重要です。
文学的文章の苦手な中3生には 作風の対照的な志賀直哉と芥川龍之介の作品を併行して読ませる という方法をとったことがありますが 思った以上に効果が上がったものです。
TSKでは 学年にふさわしい作品を生徒に紹介します。その中から実際の入試で出題されたこともしばしばありましたが そのことが目的ではありません。必要な文種に接すること 内容・文体のレベルをさまざまに体験することが大切なのです。TSKはそれを補佐する場となっています。
2 問題の解法についての留意点
絶対に避けるべきこと=問題文を読むまえに問題を読むこと
これをよい方法としてすすめる進学塾の教師が かなり存在することにあきれますが 30年以上の経験から この方法が読解をさまたげるだけのしろものであることがわかっています。
とくに本来よくできる生徒にその悪影響が顕著です。授業中の所見に合わない悪い成績をとる子の相談で明らかになるのは ほとんどがこの誤った方法を以前に教わり 忠実に従っていたための不成績だということでした。授業中のやりとりで十分な文章理解を示した女子が 大手の各公開テストで中位の成績しか取れないでいたケ-スでは この読み方を改めただけで 次の日能研のテストで7位となり 以後上位を保って受験に臨み 桜蔭・慶応などすべての受験校に合格しています。これに準ずるケ-スは枚挙にいとまがありません。
読解問題の絶対的な基本は まず素直に通読し 自分なりの理解を成立させ それに基づいた内容分析を加えて整理し そこから問題と向き合うことです。入試問題も文章の内容把握の度合いを確かめるものに過ぎません。ただ その内容がときに専門家としての目を要求したりもするので 我々の補助が必要にもなるのです。
ところで 入試問題はその学校の授業レベルを示しています。記述を中心にすえた国語の読解は その腕の見せ所です。要求される答案のレベルは 学校により異なりますが 難関校では厳密な分析に基づく正確な答案を要求されます。
たとえば 武蔵中の問題について おおざっぱな問題で答え方がいく通りもあるなどと言う人たちがいますが これは文章読解の基本を持たない 何か特別な「技術」だけで読解問題が解けると考えている人たちです。
入試で取り上げられる文章は 長いものでも文庫本で10ペ-ジ程度です。筑駒では1問で2ペ-ジに満たない程です。よく「長文読解」などと言いますが 短い短編小説や説明論説文の読解にすぎません。ただし、それだけに、その読みは「研究者」の視点が要求されることさえあるのです。要求された内容をとらえきっていない答案はきれいにまとまっていても得点の対象にはならないのです。
(1)まず 簡単な分析から
問題に取り組む前に 文面で内容の整理を行います。
これは指定された設問に従って 直接的に対応できるようにするためです。整理の要点は次のようになります。
a 説明論説文の場合
◇話題の動きに従って段落構成をとらえる
◇表現の対応をとらえる
○同義対応 同じ内容の言い換えの部分の対応
○並列対応 並立関係になる語句や表現の対応
○逆の対応 対立関係になる語句や表現の対応
同一段落内、全体を通じてそれぞれ検証する。
◇要点をとらえた集中語句(内容を端的にまとめた語句)をチェックする
これも部分、全体についてそれぞれチェックする
ちょっと大変そうに見えますが、慣れた子は、全文通読、二度目の読みに並行してチェックすることで、容易に作業が行えます。
この作業で注意しなければならないのは、チェックに(傍線)を引くのを避けたほうがいいということです。問題にともなう傍線が見にくくなるからで、囲う、カッコを利用するなどの方法が有効です。
このような分析的な整理によって、概要をつかみ問題処理を楽にします。
(2)問題の条件および要求と向き合って